「カミーノ」へ行ってきました、ヌー( @like_a_rhino )です。
2019年6月に、ポルトガルのポルトからスペインの聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで、250kmを徒歩で巡礼(カミーノ)してきました。
きょうはそのカミーノの「10日目」の様子を。
ポルトガルのポルトを6月12日に出発して10日目、6月21日にサンティアゴ・デ・コンポステーラに到着しました。
ポルトを出発するときには12日間で歩けるといいな…と思っていたので、想定よりだいぶ早いペースだったことになります。
スペインに入国して以来ぱっとしないお天気が続いていましたが、この日はぴかぴかの青空のもとでのサンティアゴ到着。
最高のいちにちとなりました。
▼「カミーノマジック」を体験しつつ、サンティアゴ伝説の始まりの場所ともいえるPadron(パドロン)まで歩いた「9日目」の日記はこちら。
目次
羽根が生えたように歩いた10日目、Padron~サンティアゴ・デ・コンポステーラ、歩行距離29km
いよいよ、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラが目の前に近づいてきました。
きょうも淡々と、歩きます。
いっしょに歩こう!
朝7時、Padron(パドロン)の宿を出発。
歩き始めてしばらくして、後ろから歩いて来たひとりの女性に声を掛けられました。
「差支えなかったらでいいんだけど、あなたたちといっしょに歩かせてもらえないかしら?」
この女性、ポルトガルのポルトからひとりでカミーノ中。
誰かといっしょになった日はいっしょに、そうでなければひとりで歩いてきたけれど、聖地サンティアゴがどんどん近づいていくるこの日は、ひとりではなくて誰かと歩きたい気分で、とのこと。
もちろん!ぜひ!ゆっくりいきましょう!
いっしょに歩きだしました。
「信じたいものを信じればいい」
通りかかったカフェで、3人で朝食を。
(友人Yと、このグサッとフォークが刺さった状態で出てくるのにはどうも心理的に慣れないよね…といつも言っていました。)
3人で自己紹介しあいます。
彼女はドイツ人のビエッタさん、50代後半ぐらいかな?で、ドイツでIT関連のお仕事をされているそう。
30分ほどで腹ごしらえも済み、カミーノスタート!
むかしのお洗濯場だった泉がここにも。
ポルトガルのこういう場所はだいたいもう放置状態で水が死んでたけど、スペインではとてもきれいなところが多い。
観光資源として整備してるんだろうな。
2日前、Briallosのアルベルゲ(巡礼者用宿泊施設)で一緒だったスペイン人ファミリーが現れた!
ママがいないけどどうしたの?と聞いたら、足が痛くてゆっくり歩いてきてる、って。
ママ、がんばって…!
道端で犬と戯れるスウェーデン人の女の子が天使のようだった。
愛にあふれた扱いに犬がメロメロになっててかわいかったなあ。
「あの丘をこえるのかなあ…憂鬱…」とビエッタさん。
とにかく上り坂が大嫌いみたいで、ポルトガルのRubiaes(ルビアンイス)の峠越えが嫌だった―!今日も上り下りがあって嫌だなあ…、と言ってるけど。
彼女は以前フランス人の道も歩いていて、もっとずっとずっときついピレネー越えとかしてるはずなのに。
面白いな。
畑で野ウサギをみかけました。
そういえばカミーノ最初の日、ポルトガルのVairao(ヴァイラォン)で宿泊した修道院の庭でも野ウサギがぴょんぴょんしてたな。
まだあれから10日も経っていないぐらいなのに、いろんなことがもうものすごく前のことに思える。
ビエッタさんと並んで歩きながら、いろんなことをおしゃべりしました。
ドイツと日本の社会の話、文化の話、ヴィーガンやオーガニックなたべものの話、環境問題の話、スウェーデンの女子高生グレタがはじめた「FFF(Fridays For Future)」という活動の話…。
考え方がフラットで、話をしていてとても楽しいひとだった。
おもしろかったのは、「カミーノ」について話していた時。
わが家はわたしはブディスト(仏教徒)で、夫はクリスチャンで、なのにカミーノに来てるのはわたしの方なの 笑、と言ったら。
「あなたの子どもたちは?どっちを信じるの?」と不思議そうな顔で聞いてきた。
うーん。
わたしは、「信じ方」の方法が違うだけで、仏教もキリスト教も同じものだと思ってて。
だから子どもたちも、それが仏教でもキリスト教でも、そしてそれ以外の何かでも…、
と言いかけていたところで、そこに合わせてビエッタさんが言った言葉とわたしの言葉が一言一句違わずきれいにハモりました。
「彼らが信じたいものを信じればいいと思ってる。」
そう、そうなの。
みんなみんな、自分が信じたいものを、自分が信じる方法で、信じていけばいい。
そこに良い悪いや優劣なんて本来なくて、誰かに強制したり誰かから強制されるものでもなく、信じる方法が違うからといって攻撃したりされたりするものでもなくて。
自分がおだやかに心ゆたかにいられる方法を、自分がみつけて自分なりに信じていけばいい。
そんな言葉がぴたりときれいにハモったあの瞬間。
なんだか嬉しかったな。
快晴のサンティアゴ・デ・コンポステーラ
この日はとても過ごしやすい気候で、歩いていて気持ちがよかった。
わたしは実は、この日のカミーノの景色の記憶があまりありません。
自分の足で歩いているという感覚もあまりなかった。
例えるならば、自分の足に羽根が生えて、まわりの景色がどんどん後ろに流れていくような気持ちでした。
だから途中からはほとんど写真も撮っていなくて、サンティアゴまで残り10kmを切ったモホン(道標)がかろうじて残ってるぐらい。
細かいアップダウンも結構あったような気がするのですが、それも苦になった記憶がありません。
13時ごろ、サンティアゴ手前5kmほどの位置にあるMilladoiro(ミラドイロ)の街に到着。
ここで一泊するというビエッタさんとカフェでオレンジジュースで乾杯し、メッセージアプリWhat’s Appでお互いにこの日の写真を交換しておわかれしました。
この日この道を、あなたといっしょに歩けて本当によかった。
ありがとう!
午前中薄く雲がかかっていた空も、どんどん青さを増してきました。
巡礼者の姿もどんどん増えてくる。
サンティアゴまで5kmを切りました。
そしてついに、モホン(道標)に残りキロ数が出てこなくなった。
いよいよ、サンティアゴの街に入った感じです。
このあと、残り2km程度の数字のものを最後に、その先モホン(道標)を見かけることはありませんでした。
もう、ゴールの大聖堂もちかい気配がビンビンする。
モホンがなくても、黄色い矢印がなくても、迷わない気がする。
あ!通りの先に、塔が!
どんどん大きくなってくる。
そして、到着!!!
出発から10日目、6月21日の14時半に、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラに着きました!!!
14:30、サンティアゴに着きましたー!
陽気なスペイン人マダム達のグループと写真を撮りあいっこし、マダムの指ばかり写っていた時のわたしのきもちー 笑!#Spain#カミーノ #camino#vamos_andando pic.twitter.com/xw6Riyk3cI
— ヌー : すっきり、さっぱり。 (@like_a_rhino) June 21, 2019
涙が出る…、とか、やりきった気持ち!、とかはぜんぜんなくて。
とにかく、
たのしかった!!!
そして、
ありがたかった!!!
ここまでわたしを連れてきてくれた、すべてのものごとに感謝。
そんな気持ちでした。
ボタ・フメイロはないけれど
昼食に、巡礼者用のMenu(メヌー)をいただきました。
ガリシア風スープと、海鮮のスープ。
ここのガリシア風スープ、おいしかったー!
はじめて満足のいくガリシア風スープが食べられました。
豚肉のソテーと、サーモンのソテー。
どちらもカリッとじゅわっとしておいしかった。
オレンジリキュールのプディング。
オトナな甘さで、これも美味しかった。
このMenu(メヌー)で14ユーロ。
おいしかったけど、やっぱりサンティアゴの物価は高いな…。
一旦宿にチェックインしてシャワーと洗濯を済ませ、サンティアゴの街の散歩に出ました。
まずは、とるものもとりあえずサンティアゴの大聖堂。
あいかわらず最高の青空!
今回いっしょに歩いてきた友人Yは前年2018年にフランス人の道を歩いているのですが、その時はひどい天気で寒くて真っ暗な空の下の大聖堂のイメージしかないそうで、今回のピカピカの青空をほんとうに喜んでいました。
サンティアゴの大聖堂では、天井から吊るされた大きな大きな香炉でお香を焚いて振り子のように聖堂内を行き来させる「Bota Fumeiro(ボタ・フメイロ)」という儀式と、カミーノ出発地と国籍、名前を読み上げたうえであずかれる巡礼者のミサが有名です。
前年にYが大聖堂内で撮ったボタ・フメイロの動画を見せてもらいましたが、荘厳ですばらしかった。
今回はといえば、こんな感じです。
絶賛全面大工事中 笑!!!
再来年、2021年が聖ヤコブの「聖年」といわれる記念すべき年にあたり、それに向けて整備改修工事をしているところのようです。
わたしは出発前からツイッターでつながりのあるガリシア州公認観光ガイドのオトラスペインさん( @otra_spain )のブログやツイッターでこのことを教えていただいており、ぜんぶ承知の上で巡礼に来ていました。
いっしょに行った友人Yはわたしからその話を聞き、「それでもなんとか今回もボタ・フメイロをみられるかな?」と心のどこかで思っていたようですが、大聖堂の中に入ってみてあまりの工事っぷりに一瞬口をあんぐり開けていました 笑。
ほんとうに工事中ですよー!
ほんとうにボタ・フメイロもありませんよー!
本来であれば、この大きな香炉がスイスイと聖堂内を行き来するのですね。
さぞすばらしい光景でしょう。
このロープを引いたり緩めたりして、香炉を動かすようです。
聖年である2021年に来たら、すばらしい「ボタ・フメイロ」が見られるんだろうなー!
聖堂には聖ヤコブ(サン・ティアゴ)の像が祀られていて、奥の通路から入って階段を上り、この像を後ろから抱きしめることができます。
内部(背面)からは写真が撮れないのですが、像が肩にまとっているケープ部分に大きな宝石がいっぱいちりばめられていて、通路の階段はすべてうつくしい大理石で、すばらしかったです。
今回、大聖堂での「ボタ・フメイロ」も巡礼者のミサもなかったけれど、負け惜しみでなく心から思っています。
そのためにカミーノを歩いてきたわけではないから、いいの。
カミーノ、たのしかった。
カミーノ、ありがたかった。
それで、十分です。
巡礼証明書をゲット
大聖堂を出ると、友人Yが「こっちこっち」と言いながら歩いていきます。
着いた先は、カミーノの事務所でした。
写真撮影は禁止だったので写真はなし。
20分ほど列に並び、順番に指定された番号のカウンターへ行き、クレデンシャル(巡礼手帳)とパスポートを提出。
クレデンシャルにはカミーノの事務所のスタンプが押され、巡礼者の名前とカミーノ出発地、出発日、公式の距離数が手書きされた「巡礼証明書」が発行されました。
手数料3ユーロ、「巡礼証明書」を入れる筒代が別途2ユーロ、合わせて5ユーロ。
サンティアゴ巡礼の証明書発行。
名前、出発地、到着日、公式巡礼距離等が手書きで記入される。
そうかこんなのあったんだ、1人だったら絶対忘れてそのまま帰ってたわー 笑と言ったら、友人にコイツハホントニヤリカネナイという顔された。
個人的には歩けただけで十分満足だった訳で。#カミーノ pic.twitter.com/ebg06O2AOj
— ヌー : すっきり、さっぱり。 (@like_a_rhino) June 22, 2019
わたしはこの「巡礼証明書」にもぜんぜんこだわりがなかったんだけど、友人Yは、自分が死んだら棺桶に前回「フランス人の道」と今回「ポルトガル人の道」のクレデンシャルと巡礼証明を入れてもらうようにご主人に伝えていると言っていた。
なるほど。
わたしも大事にとっておきましょうかね。
カミーノ10日目の宿をご紹介
聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着したこの日の宿は、「Casa Douro(カーザ・ドウロ)。
【Booking.com】で予約しておきました。
2ベッドルーム。
天気がよかったこともあり、窓からの景色が気持ちよかったなあ。
キッチンとひろい共用リビングでお茶を淹れて飲んだりしました。
洗濯機は無料。
ひろい干場にはみんなの洗濯物がたくさんはためいていました。
Wifiアリですが、拾えるのはせいぜい2階までで、それ以上だとほとんどキャッチできない印象でした。
そして、ここには21日と22日の2泊したのですが。
1泊目は問題なく、2泊目に突然洗面所の排水口がつまって(そんなに荒い使い方はしていません)水がぜんぜん流れて行かなくなり、洗面所スペースにちょっと下水のにおいがこもったりしたのが悲しかった…。
【Booking.com】のサイトではとても評価が高かったですし、実際いい宿だと思ったのでそこがちょっと残念でした。
「カミーノ10+1日目」へ、つづく!
カミーノ出発から10日目で、聖地サンティアゴに到着。
もともと12日間で行けたらいいぐらいに思っていた部分があったので、思いのほか時間に余裕ができてうれしい誤算でした。
せっかくなので、この翌日は観光を存分にたのしみました。
カミーノを歩くときにずっと頼りにしてきたモホン(道標)は、これまでサンティアゴまでの残りキロ数を示してくれてしましたが、サンティアゴからさらに西に行ったFinisterra(フィステーラ)という地にはなんと、0.00kmのモホン(道標)があるとのこと。
「カミーノ10+1日目」の日記へつづきます。
▼バックパック重量4.8kg!わたしのカミーノの持ち物リストはこちらからどうぞ。
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