「カミーノ」へ行ってきました、ヌー( @like_a_rhino )です。
2019年6月に、ポルトガルのポルトからスペインの聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで、250kmを徒歩で巡礼(カミーノ)してきました。
きょうはそのカミーノの「5日目」の様子を。
全体を通して大きな起伏がなく割と平坦だと言われる「ポルトガル人の道」の中では、いちばん高低差のあるルートを歩く一日になりました。
宿がある村も少ないため必然的に一日の歩行距離も長くなり、かなり疲労した日の日記です。
▼足のマメに困っていたスイス人の女の子と、日本が誇るキャラクター「キティーちゃん」の絆創膏でコミュニケーションが盛り上がった「4日目」の日記はこちら。
目次
峠越え&長距離歩行の5日目、Ponte de Lima~Fontoura、歩行距離31km
カミーノ5日目のこの日は、平坦といわれる「ポルトガル人の道」の中ではめずらしくいくつかの峠を越えるルート。
宿のある村も少なめなので、必然的に歩く距離が長めになったいちにちでした。
5時半起床、6時出発
朝5時半に起床。
外はまだ薄暗く、街灯がともっています。
ゲストハウスのキッチンで、前日街なかの食品店で買っておいた生ハム、チーズ、ヨーグルトを食べ、お茶を淹れて飲む。
おかしな言い回しかもしれませんが、チーズも生ハムもほんとの食べ物の味がして、からだに染みていく感じがします。
エンジンがかかった!
6時に出発、街を出てリマ川にかかる石橋を抜けていきます。
山の向こうがほんのり朝焼けてきていて、きれい。
前日「カミーノ4日目」で歩いてきた道もそうですが、この日のカミーノもほんとうにうつくしかった。
太陽の光が当たる前のしっとりした緑、光が当たってかがやきはじめる緑。
道は、すこしずつ高度をあげていきます。
ごつごつした岩場に松のような樹が生え、その足元にかわいらしい紫色のエリカの花が茂っている。
矮性(わいせい)なのか、地を覆うぐらいの高さでこんもりしているのがまた雰囲気があっていい…。
1時間半ほど歩いたところで、カフェがあったので一休み。
このカフェ、横を流れる川で釣堀もやっているみたい。
サンドイッチとジュースとコーヒーがセットになった巡礼者専用メニュー、Menu(メヌー)をお願いしました。
サンドイッチはトマトとハムとチーズ、おいしかった。
このお店ちょっとポルトガルらしくないというか、インテリアもメニューもどこかイタリアっぽい粋なセンスを感じるお店で、置いてあるデザートもティラミスとかトゥッティフルッティとか、どれもとってもおいしそうでそそられました。
どんどんのぼってどんどんくだる
腹ごしらえもでき、朝の光の中をどんどん歩きます。
きょうも快晴、空は真っ青。
峠道を歩いているだけあり、ゆたかな水の流れをあちこちで見ることができます。
お水もとってもきれい。
そのうち、道がずぶずぶとぬかるむ場所が出てきたりして、ちょっと山道っぽくなってきて。
やがて、ごつごつした岩場ばかりの道に変わってきました。
これ、この写真で見るより実際もっと傾斜はきつく、岩も大きかったです。
岩場と岩場の間には、石の十字架の建つスペースがあり、ここにたくさんの手紙や写真、石などが積まれていました。
いろんな思いが積み重なる場所なのね。
のぼっていくわたしたちとは逆に、自転車でさっそうと下っていく人も。
この岩場をダウンヒルしていくとか…コワすぎる…。
コケないように一歩一歩、浮石を踏むと後ろを上ってくる友人Yのあたまに落石でも起こしてしまいそうなので、慎重に歩きつつ。
とりあえず峠のいちばん高いところ、へ到着!
ああ、いい気持ち。
標高にしてみればほんの400mちょっとですが、達成感があります 笑。
そこからは下る下る。
上るよりもさらに足にクる感じがするので、こちらも一歩一歩気をつけて。
このとき、トレッキングポールを持ってきてやっぱりよかったなあと思いました。
あるとないとでは、足への負担がぜんぜん違う気がする。
石の十字架ポイントをもうひとつ通過。
こちらにも手紙や写真がたくさんありました。
ゆたかなお水がほとばしる場所で手を洗うだけでも気分がすっきりする感じがする。
この日も暑かったので、友人Yはここで冷却タオルを濡らして首に巻いていました。
この冷却タオル、熱がこもってしまうタイプのひとにはとてもよさそうです。
Yは昨年フランス人の道では暑さから頭痛がひどかったそうですが、このタオルのおかげで今回は平気だったみたい。
そのうち道が石畳に変わりはじめ、ちょっとずつ人里っぽい雰囲気になってきたと思ったら、うしろから羊の群れが!
貫録のあるおかあさんが大きな杖をつきながら下りてきて、羊の群れを率いてわたしたちを追い越していきました。
言うことを聞かない羊に大声で怒って杖でこづいたりしていて、ああ、こんな牧歌的な世界でもやっぱりイライラはあるんだなあと思ったり 笑。
うー、とりあえず一山越えて、疲れてきた。
でも、このカフェ「Roulote(ロウロテ)」はお休みで入れなかった…、日曜日だし仕方ない。
お腹がすいたので、道端の石塀に腰を下ろして朝の残りのハムとチーズ、そして朝のカフェで飲みきれずに持ってきたフルーツジュースでエネルギーチャージ。
もう5kmも歩けば次の街につくはず!がんばろ!
このころからカミーノ上でだんだん見かけることが多くなってきた、道端に打ち捨てられたシューズ。
足にどうにも合わなかったんだろうな…。
しかしこうやって置いて行かれた靴を見るたび思うけど、このひとはこのあと何を履いてカミーノを歩いて行ったんだろうね???
空はあいかわらずピカピカのお天気です。
友人Yとふたり、「暑いけどさ、この峠越えを雨の日には絶対やりたくないからホントよかった~!」と言いながら歩いていました。
そして、Rubiaes(ルビアンイス)に到着!
巡礼者用の宿泊施設「アルベルゲ」に併設されたカフェで、カロリー補給です。
この場所、開放感があっていいなー!
ここでストップして泊まっちゃってもいいな…とちょっと思ったのですが。
天気もいいことだし、今日はまだここまで距離としては20km位しか歩いていないし。
やっぱりもう一息行ってみよう!ということでふたたび出発です。
もうひと峠、もうひとがんばり!超ドイツな宿へチェックイン
Rubiaes(ルビアンイス)の峠を越えて、道は緩やかに下りながら続いていきます。
…と思いきや、またすこし峠道っぽくなってくる道の入り口にこの石碑。
この石碑は、いまの「カミーノの黄色い矢印」が、1990年代の最初にポルトガルのこの地域から始まったということを表しているよう。
実は「カミーノ」は、いまのように多くの人に常に支持され続けてきてたわけではありません。
11世紀あたりに興隆してからは衰退の一途をたどり、それから長い荒廃の時期を経て1980年代の終わりになって劇的に復活を果たし、今に至ります。
その復活のころから、「黄色い矢印」や「クレデンシャル」などの現在のカミーノの象徴的なシステムが整備され確立されてきているよう。
その新しい歴史の一端をここに見ることができるわけだ。
それにしても、この道も水が豊かだなー。
じりじり照りつける太陽から守ってくれる木陰がほんとうにありがたい。
Rubiaes(ルビアンイス)からもうひとがんばり!と思って歩いてきましたが、暑さの中でまだまだ細かいアップダウンを繰り返す道にだんだん集中力も落ち、くたびれてきました。
…さっきのアルベルゲに泊まっておけばよかった 笑。
とはいえ今更あともどりはできないので、とにかく前へ前へ!
最後の下り坂をおりきったFontoura(フォントゥラ)の地にあるアルベルゲ(巡礼者用宿泊施設)の門をたたきました。
幸いここもベッドの空きがあって無事入れた~!よかった~!
きょうはいくつかの峠を越え、トータルの歩行距離は31km。
よくがんばりました。
カミーノ5日目の宿をご紹介
カミーノ5日目にたどり着いた宿は、ドイツ人ホスピタレイロ(管理人)が運営する「Pilger Pause(ピルガー・パウズ)」。
だだっぴろい空間の奥がドミトリーになっていて、二段ベッドが7台、合計14床分の寝床があります。
手前側にはキッチンとダイニング。
お茶のティーバッグなどは無料ですが、ダイニングスペースの棚の中にはインスタントラーメン(!)やお菓子、そして、飲み物専用冷蔵庫の中にはジュースやお水、アルコール類があり、これらは表示の金額を室内にあったボックスに入れることで自由に購入できます。
もうひとつのちいさな冷蔵庫や食品棚の中にはハムやチーズにヨーグルト、パンやジャムやクラッカーやフルーツがたっぷり用意されていて、宿泊費に3ユーロ追加で翌朝の朝食として食べ放題になっています。
わたしたちは3ユーロ払い、翌朝ありがたくいただいて出発しました。
洗濯機も3ユーロでお願いでき、しかも洗濯がおわるとホスピタレイロがかごにいれて持ってきてくれるという便利さ。
手洗い、手絞りではないので、久しぶりにすっきり洗えてさっぱり乾いて超気持ちよかった!
夕食については、巡礼者用のMenu(メヌー)を提供してくれるレストランが1.5kmほど先とやや距離があるので、電話で注文してここまで届けてもらえるようにしているとのこと。
わたしたちはこの日もくたびれすぎたのかあまり食欲がなかったので、野菜のスープとパスタだけお願いしてさっと食べ、さっと寝てしまいました。
シャワーやトイレについてはかなりシンプルにそぎ落としたタイプで、お湯はちゃんとでて必要最低限きちんと使える、という感じ。
全体的に、昔の古き良きユースホステルのような雰囲気です。
一泊13ユーロのいわゆる大部屋の安宿ですが、朝食のシステムといい洗濯機のつかいかたといいMenu(メヌー)のデリバリーといい、ドイツらしい合理主義がそこここに見え隠れするような、ちょっとカミーノっぽくない宿でした。
「カミーノ6日目」へ、つづく!
カミーノ5日目は、比較的平坦な「ポルトガル人の道」にはめずらしい峠越えの一日となりました。
翌日はいよいよ国境を歩いて越え、スペインに入ります。
「カミーノ6日目」の日記へつづきます。
▼バックパック重量4.8kg!わたしのカミーノの持ち物リストはこちらからどうぞ。
▼スペインや旅に関する情報はこちらからもどうぞ。
▼こちらのボタンをクリックで応援いただけると励みになります!
にほんブログ村