「カミーノ」へ行ってきました、ヌー( @like_a_rhino )です。
2019年6月に、ポルトガルのポルトからスペインの聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで、250kmを徒歩で巡礼(カミーノ)してきました。
きょうはそのカミーノの「1日目」、記念すべき巡礼初日の様子を。
…しょっぱなから想定外のトラブルに遭い、肝心のカミーノの道筋はいつまでたってもよくわからず、迷いに迷って半泣きになりながら歩き続けてようやく修道院に寝床を確保した日の記録です。
▼カミーノ出発前日、ポルトの街を半日観光した「0日目」の日記はこちら。
目次
混乱と混沌の1日目、ポルト~Vairao、歩行距離26km
前日、カミーノの出発地となるポルト大聖堂の事務所が「6時半から開いている」と確認していたわたしたち。
6時半にカミーノの通行許可証ともいえる「クレデンシャル(巡礼手帳)」を事務所で入手し、スタンプを押してもらい、巡礼開始日の今日の日付「6月12日」を記入してもらうつもりマンマンで6時に起床しました。
ポルト大聖堂、話がちがう~
6時に起床し、みづくろいし、6時半に開くというポルト大聖堂の事務所へクレデンシャルを買いに行きました。
が。
…開いてない!!!
…開く気配ゼロ!!!
…もう~話がちがううう~!!!
インターネットで確認すると、ポルト大聖堂のオープンは「9時」とある。
これはわたしたち2人の間でもずっと疑問なのですが、たしかに前日事務所で確認したとき、「ここは6時半から開いてる」と言っているのを聞いたのですよ、ふたりとも。
いくら年齢をそれなりに重ねていると言っても、さすがにふたりそろって「6時半」と「9時」を聞き間違えないでしょ~。
ほんとうに一体なんだったのか???
わたしは初めてのカミーノでとても緊張していて、事前にトレーニングは積んできたけれど、実際自分がどれぐらい歩けるかもとても不安で。
【Day1】6/12
緊張したみたいで、2時間おきに目が覚めた..。
そして、朝イチから想定外の事態発生中〜💦。
プラン変えなきゃならなくなりそう。
…まあ、なるようになるさ〜。#Porto #Portugal #カミーノ #camino#vamos_andando pic.twitter.com/QywrhOxAwv
— ヌー : すっきり、さっぱり。 (@like_a_rhino) June 12, 2019
だから、6時半の事務所オープンと同時にクレデンシャル購入とスタンプを済ませ、7時に宿で朝食を食べ、7時半過ぎにはカミーノに出発!それなら歩く時間を長くとれる!それならちょっと気がラク!と思い描いていたのです。
そのプランは早くも崩れ去りました。
癒しの朝食
失意です、マジ失意。
ホテルの部屋でふたりで落ち込む。
ポルトからスタートする場合、カミーノの「ポルトガル人の道」は前日に到着した記憶もあたらしいポルト空港のすぐそばを通りつつ、北上していきます。
出発時間が遅くなったから、今日の目的地にしていた村までの25kmを歩く自信がない…。
ポルト空港までメトロで行っちゃおうか…。
そこからなら10数kmで今日泊まろうと思っていた村まで行ける…。
ずぶずぶと重い気持ちになっているところへ、前日オプションで予約しておいた朝食がケータリングで到着しました。
わあ…ナニコレ…かわいい…。
ちいさな箱にきれいな布がかけられています。
開けてみると、なんかいろいろ詰まってる!
いいにおい~。
テーブルに広げてみました。
クロワッサン、白パン、はちみつ、ベリージャム、バター、スクランブルエッグ、牛乳、搾りたてオレンジジュース、あたたかいコーヒー、いちご、さくらんぼ。
おいしい!
かわいい!
おいしい!
かわいい!
なんかもう単純なもので、おいしいものを食べてオレンジジュースを飲んでしゃっきりしてあたたかいコーヒーを飲んでほっこりして「かわいーかわいー」言ってたら、
出発時間が遅くなったのがどうでもよくなりました 笑。
そして、初日からはたして25km歩けるかどうか不安…なんて思っていたのもどうでもよくなりました 笑。
歩こう!
歩くぜ!
9時には開くんだよね?ポルト大聖堂の事務所!
開けよ?ポルト大聖堂の事務所!
8時45分、「Cathedral Design Apartments」をチェックアウトです。
ポルト大聖堂を出発!
9時が近くなってくると、ポルト大聖堂前の広場にぞくぞくと巡礼者らしき人たちが集まってきました。
6月だというのにびっくりするほどの寒さに耐えながら待つこと10分。
ポルト大聖堂の事務所が開きました…。
クレデンシャルを2ユーロで購入し、ポルト大聖堂のスタンプを押してもらい、巡礼開始日である今日6月12日の日付を記入してもらい。
ようやく、ようやくカミーノスタートです!
黄色い矢印、むずかしい…
カミーノの「ポルトガル人の道」がポルトを出るルートは大きく分けて2つあります。
うつくしい海岸線沿いを行く「Costa(コスタ)」ルートと、ポルトの街中を抜けてそのままポルトガルの内陸を北上していく「Central(セントラル)」ルート。
わたしたちは脚力に自信がなかったのでできるだけ王道の道を取ろうと、「Central(セントラル)」ルートで行くつもりでした。
ただし、ポルトの街なかはとにかくカミーノの目印になる黄色い矢印があっちむいたりこっちむいたりで錯綜していたので、中心街を抜けて矢印がシンプルになりそうなところまでふつうに地図を見て進み、黄色い矢印はとりあえず一旦おいておく。
そしてやっと街なかを抜けて見つけた、黄色い矢印!
やっと、カミーノ「Central(セントラル)」ルートに合流できたよー!
ところが。
この先あちこちでちゃんと黄色い矢印を見つけられるのですが、どれにもことごとく「Costa(コスタ)」と書いてあるのですよ…。
いや、わたしたちは「Central(セントラル)」ルートに行きたいの。
いまさら「Costa(コスタ)」ルートに回りたくないの。
ただでさえ出発時間遅れてるし!
ここまでくると、絶対に「Central(セントラル)」ルートじゃなきゃ!という思いにカチカチに凝り固まってきます。
通りすがりの人に道を聞くとどの人も口をそろえて、「Costa(コスタ)」ルートが美しいからそっちへいけ、と言う。
そしてたしかに、ポルト近辺の「Central(セントラル)」ルートは車がびゅんびゅん走る大通りばかりで超つまらない。
いまになってみれば、あそこでみんなの言葉とカミーノの黄色い矢印が示すとおりに「Costa(コスタ)」ルートに回されちゃっても良かったのにな、と思います。
つまらない道、わかりにくい道、たのしくもない道にあんなにも固執することはなかった。
それぐらいムキになってた。
仕方ないよね、あの時はほんとうにスタートしたばかりで、気持ちに全然余裕がなくて。
「自分が決めた目標に、自分が決めた道筋で行く!」
それしか考えられなかったんだもん。
いくつになっても、年齢なりにいろんな経験を積んでいるつもりでも、しょせん人間そんなものです。
やっと目指すルート名が出てきた!
「Costa(コスタ)」ルートばかりおススメしてくる黄色い矢印に見切りをつけ、GPSアプリ『Maps.Me』でとにかく目的地の村を目指します。
ハイ、カミーノに来ているのに、黄色い矢印ガン無視です 笑。
朝の寒さがウソのように暑くなってきたし、道はよくわからないし、かといってそうやって目的の村についたからと言って寝床が確保できる保証はないし、不安と焦りばかり。
カミーノぜんぜんたのしくない 笑!!!
ということで、カフェに入ってクールダウン。
女主人に、お腹すいてるからサンドイッチお願いしますと頼んだら、「ハムとチーズと…、あ、牛肉があるからそれでよければはさんであげる」とのこと。
ジュースでのどを潤しながら待っていると奥からバンバンお肉をたたく音がして、しばらくしてでてきたサンドイッチ。
しっかりたたいてやわらかくなった牛肉は身もだえするぐらい丁度良い火加減塩加減で焼かれ、しかも食べやすいようにところどころ切れ目を入れた状態でパンにはさまれてる。
友人Yとふたり、感激しながらむしゃむしゃ貪り食った。
そして生き返った気持ちがした。
わたしたち、まだがんばれる(単純)!
そこから2時間、不安ながらもまえへまえへ歩き続けて、ついに。
「Central(セントラル)」ルートのちゃんとした矢印が出てきたーーー!
もう、どこいってたのよー!「Central(セントラル)」ルートの矢印ーーー!
二度と会えないかと思ったよーーー!
ここからやっと、黄色い矢印を信じて、黄色い矢印に身をゆだねて、ただただ歩みを進められるようになりました。
信じられるものがある、導いてくれるものがあるってこんなにもありがたいことなんだと実感しました。
Vairaoで、はじめての修道院宿泊
そうしてひたすら黄色い矢印にしたがってたどり着いた村「Vairao(ヴァイラォン)」には修道院があり、そこに宿泊することができます。
おそるおそる事務所に入っていき、今晩泊まれるか尋ねたら。
ベッドはがら空きで、全く問題なく泊まれました。
あああああ、ほっとしたあああ!
いちにちがながかったあああ!
荷物をおろし、ベッドに寝袋をひろげる。
同じ部屋にはわたしたちふたりと、ベルギー人男性ひとり。
窓の外にはのどかな田園風景が広がります。
きもちいい!
きれいに整えられたお庭には、うさぎがぴょんぴょんはねているのが見えました。
今日の寝床は、修道院だった建物のドミトリー。
26km歩いてきて無事寝床が確保でき、心底ホッとしました。
夜を越す場所があることのありがたみ。
よく手入れされたお庭には、うさぎがぴょんぴょんしてるのが見えます。#Portugal #カミーノ #camino#vamos_andando pic.twitter.com/aFTu256pZt
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シャワーを浴び、着ていたものを手洗いし、庭にはられた物干しロープに干します。
乾いてほしい!
というか、乾いてくれないとさっそく着るものがなくなる 笑!
▼荷物が超すくないので…。「着ているもの」と、「洗ったもの」しかないのです。
レストランでお手伝い
宿泊先の修道院「Mosteiro de Vairao(モステイロ・デ・ヴァイラォン)」からすぐのところに、カミーノ巡礼者用の特別メニュー「Menu(メヌー)」を提供してくれるレストランがありました。
スープ、前菜、メイン、パン、デザート、ワインをいただきながら、お店のご主人とおしゃべり。
「うちはメニューを日本語で書いてあるんだ、ほら」と胸を張ってみせてくれたご主人。
“chourisita-ebi”
ちょ、調理したエビ…?
聞いてみるとどうやらグリルで焼いたエビのことを言いたいらしい。
すべてがこの調子で、この他のメニューもどうやらグーグル翻訳かなにかに放り込んで出てきたものをそのまま書いてあるらしく、とてもじゃないけど何の料理なのかちんぷんかんぷん。
うーん、これ、日本人が見てもわかんない。
ご主人にそういうと、「そうなの?」とめっちゃくちゃ悲しそうな顔になり…。
わかった、わたしができる範囲で翻訳しようか!と安請け合い。
とはいえ調理法の単語はかなり特殊でわかりにくいので、ご主人に料理本を見せてもらいながら格闘すること数十分。
とりあえず「調理したエビ」レベルは脱した日本語(ローマ字表記)メニューが完成しました 笑。
相変わらずレベルは低いはずで申し訳ないけれど、ご主人がたいそうよろこんでポートワインをなみなみ注いでプレゼントしてくれた 笑。
お腹いっぱいになり、ようやく夕焼けになった9時過ぎの道を歩いて修道院へ戻りました。
カミーノ 午後9時。
いや、日が長すぎるわ。
日本の午後6時ぐらいの感覚。#Portugal #カミーノ #camino#vamos_andando pic.twitter.com/cO3BA2dPCm
— ヌー : すっきり、さっぱり。 (@like_a_rhino) June 12, 2019
ああ、しかし長いいちにちだった…。
カミーノ1日目の宿をご紹介
カミーノ1日目の宿は、「Mosteiro de Vairao(モステイロ・デ・ヴァイラォン)」。
巡礼者のために、修道院を宿として活用している宿泊施設です。
ベッドマットだけのシンプルなベッドの部屋は「Donativo(ドナティーヴォ)」といわれる寄附制で、宿泊者自身が決めた費用を事務所のボックスへ入れて泊まります。
わたしたちが泊まったのはベッドマットに加えてシーツと毛布が備わったベッドの部屋で、10ユーロを支払って泊まります。
シャワーは共同ですがちゃんと熱いお湯が出る。
洗濯ができるスペースがトイレに有り、ここで手洗いして外のひろい物干しスペースに干すことができます。
洗濯にお湯が使え、洗った感があってよかった。
現地に行ってみないとベッドに空きがあるかどうかわからないので非常にどきどきしましたが、ポルトガル人の道自体巡礼者が少なかったので、ふたを開けてみればまったく問題なく泊まることができホッとしました。
修道院に泊まるなんてこういった旅でないとできない経験なので楽しみだったし、実際に泊まれてうれしかった。
「カミーノ2日目」へ、つづく!
いろいろ大変な思いをした初日でしたが、朝のトラブルにめげずにちゃんと歩き通す方を選択してよかったなと思いました。
あそこで「空港までメトロで戻って距離を稼ぐ」方を選んでいたら、カミーノを通してずっとずっと後悔することになっていた気がする。
初日のこの経験で緊張もいくぶん和らぎ、自分が歩けることにも少し自信が出て、あしたから楽しく歩こう!
…と思ったのに、翌日もアカン状態から始まります(自業自得)。
「カミーノ2日目」の日記へつづきます。
ではでは!
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